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アクチュアリー試験に効率的に合格する勉強法(一次試験)

本記事ではアクチュアリー試験の一次試験の勉強法についてまとめます。多分に個人の主観が含まれますのでお含みおきください。

1.受験する科目の選び方、順番
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初受験者の方はまず、数学の合格を目指すべきです。難易度を考えると会計経済投資理論が最も勉強しやすい科目ですが、数学を突破できないと生保数理、年金数理、損保数理に手がつかないため、数学の攻略が最優先事項になります。
数学に合格した後は生保数理と損保数理に手を付けるのが良いと思われます。年金数理は難易度が高く生保数理の知識も問われやすいため、生保数理を学習してから取り組むべき科目です。損保数理では年金現価の計算など、一部生保数理の知識を使う問題がありますが、合否を大きく左右するポイントではないため必ずしも事前に生保数理を完璧にしておく必要はありません。
なお、(生保数理・年金数理)と(数学・損保数理)の組み合わせについては、内容の親和性が非常に高いので、同時に受験するあるいは期間を空けずに受験する戦略が適切と思われます。会計経済投資理論はどのタイミングで受験してもかまいません。

2.各科目の勉強方法
(1)数学

統計学入門 (基礎統計学?)

統計学入門 (基礎統計学?)

弱点克服大学生の確率・統計

弱点克服大学生の確率・統計

数学の勉強法としては、「弱点克服大学生の確率・統計」とモデリングの教科書(アクチュアリー会で販売されている水色の本)を一通り勉強した後、過去問演習にあたるのが良いと思われます。教科書としては指定の教科書ではなく「統計学入門」を用意しましたが、それ自体を読んで勉強することはあまりありませんでした。確率論については、代表的な分布の確率密度関数、分布関数、期待値、分散、積率母関数を自力で算出できることが必須です。統計論については、基本的な検定や区間推定を押さえれば合格点の水準に達することが可能です。モデリングについては出題量は少ないものの、点差が付きやすいため水色の教科書や過去問を網羅的に学習しておくことが必要です。

(2)生保数理
生保数理は指定教科書と過去問を中心に勉強しました。生保数理の記号にいかに早く慣れるかが勉強の鍵になると思われます。基本的な公式を覚えた後は、点差が付きやすい連合生命や多重脱退、チルメル式責準等の問題に早めに手を付けていくことが肝要と思われます。教科書以外にも下記のような参考図書があるようです。

アクチュアリーのための 生命保険数学入門

アクチュアリーのための 生命保険数学入門

生命保険数学の基礎 第2版: アクチュアリー数学入門

生命保険数学の基礎 第2版: アクチュアリー数学入門

(3)年金数理
年金数理の勉強方法は生保数理に近いものになります。指定教科書と過去問を中心に勉強を進めました。基本的なトロ―ブリッジの公式を暗記した上で、典型的な問題や応用的な問題に取り組みました。公式を暗記する上では各記号の意味するところを図示して理解することを心がけました。教科書の数式と図を何も見ない状態から書き出せるようにしておくと試験本番の時も迷いなく手を動かすことができます。また、網羅的に問題演習を行うのにアクチュアリー受験研究会で提供されているWB「例題で学ぶ年金数理」は非常に役立ちました。

(4)損保数理
損保数理は範囲が広く、数理的にも難易度が高いため受験時には苦労しました。「例題で学ぶ損害保険数理」で問題の解き方を把握しつつ、内容が理解できない部分については教科書に戻って数式を追い直すようにしました。ベイズ統計やコピュラ、極値理論などの応用的な数理統計の知識が必要な領域については自分でまとめノートを作成するようにしました。またクラス料率や支払備金、積立保険、保険料算出原理など、暗記がものを言うトピックについても暗記すべきポイントを網羅的に書き出すようにしました。受験中は下記の図書を参考にしました。

例題で学ぶ損害保険数理 第2版

例題で学ぶ損害保険数理 第2版

リスク・セオリーの基礎―不確実性に対処するための数理

リスク・セオリーの基礎―不確実性に対処するための数理

(5)会計経済投資理論
難易度はさほど高くはありませんが、暗記量が非常に多く、足切りを回避できるように各分野満遍なく勉強する必要があります。アクチュアリー受験研究会で提供されているWBを繰り返しつつ、指定教科書の「財務会計講義」「新・証券投資論」を参照して理解を深めるようにしました。

新・証券投資論I

新・証券投資論I

新・証券投資論II

新・証券投資論II

財務会計講義(第19版)

財務会計講義(第19版)

3.終わりに
一次試験は限られた時間の中で大量の問題を解くことが求められます。試験当日に迷いなく問題が解けるように、早い段階から出題パターンになれておくことが肝要です。教科書を読む勉強も大事ですが、手を動かして問題を理解していく勉強も高得点を得るには不可欠となります。試験を突破するためには6割の得点が必要なので、基本的な問題を押さえつつ計算ミスをしないよう練習する必要があります。
なお、一次試験を突破するのに必要な勉強時間は一科目あたり200時間とも言われています。1日1時間コンスタントに勉強するとしても、一科目あたり半年くらいの時間がかかる計算です。業務や学業の繁忙度も考慮しつつ無理のないスケジュールを組み立て、出来るだけ前倒しで勉強することが合格の鍵になります。
前記事でも書きましたが、複数の科目を集中的に勉強することが一次試験を早く突破するコツになります。本記事が読者の方の受験科目の選択や勉強方法の模索の一助になれば幸いです。
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