「アクチュアリー試験の合格率を予測してみた」を検証してみた

この記事は過去記事の検証を行います。

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前の記事では2019年度アクチュアリー1次試験の合格率と受験者数を予測してみましたが、今回は当時の予測がどの程度予測が当たっていたかを検証してみます。

 

1.アクチュアリー1次試験の合格率予測の検証

各科目の合格率の予実差は次のとおりとなりました。

    数学 生保 損保 年金 KKT
実績 23.9% 32.0% 16.2% 17.0% 22.1%
予想 16.5% 18.3% 18.3% 19.2% 22.4%
予実差 7.4pt 13.7pt -2.1pt -2.2pt -0.3pt

生保と数学の実際の合格率がやや高くなりました。

前回と同様に、ロジット変換後の合格率が定常な正規分布に従うと仮定すると、2019年度の合格率実績のPercentileは次のとおりとなります。

 logit\left( pass\_ rate_{subject,year}\right) \sim N\left( \mu_{subject} ,\sigma_{subject} ^{2}\right)
 
  数学 生保 損保 年金 KKT
Percentile 75.5% 84.8% 39.6% 42.7% 48.5%

当たり前の結果ではありますが、合格率を1点で読みに行くことはやはり難しいことが分かります。

なお、直近の2019年度の合格率も含めた推移は次のとおりです。

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2001~2019年の合格率の推移

 2010~2019

  H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30  
  2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
数学 11.9% 11.1% 46.8% 18.4% 26.5% 20.2% 19.7% 10.3% 13.0% 23.9%
生保 35.3% 12.6% 49.2% 26.5% 10.2% 14.0% 10.6% 26.2% 12.8% 32.0%
損保 12.8% 10.5% 39.9% 30.1% 22.6% 20.5% 13.2% 13.7% 23.5% 16.2%
年金 11.6% 8.1% 46.8% 58.2% 10.2% 18.5% 16.6% 16.4% 35.2% 17.0%
KKT 18.8% 20.5% 47.6% 20.3% 22.0% 46.1% 17.2% 19.0% 14.1% 22.1%

2001~2009

  H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
  2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
数学 9.7% 17.1% 17.7% 6.8% 7.2% 10.6% 41.8% 22.8% 18.9%
生保 29.5% 9.7% 22.5% 7.0% 10.2% 11.0% 38.7% 21.9% 21.5%
損保 29.6% 15.2% 18.1% 22.7% 9.9% 11.9% 13.1% 36.6% 10.5%
年金 14.5% 19.5% 12.4% 11.4% 18.9% 11.9% 52.0% 18.1% 11.6%
KKT 17.6% 34.3% 30.1% 11.5% 23.0% 15.3% 24.8% 27.1% 15.1%

 

 

2.アクチュアリー1次試験の受験者数の検証

各科目の受験者数の予実差は次のとおりとなりました。

  数学 生保 損保 年金 KKT
実績 1,136 774 637 442 725
予想 1,021 747 663 486 735
予実差 +115 +27 -26 -44 -10

数学の受験者数は予実差が大きいことが分かります。前回の記事では、直近年度の各5科目の受験者数と合格者数を変数とするモデルを作成しましたが、数学だけはあてはまりが良くなかったようです。

数学はエントリー科目としての要素が強いので、他の科目の受験者数・合格者数情報は使用しない方が良いかもしれないという仮説を立てモデルを作り直すと、2019年の数学の予想受験者数は1,126人となり、もう少し改善の余地があるようです。

 

3.結論

予測が外れても問題ないように、しっかり勉強・準備しておくことが大切です。

 

2019年度の試験情報をアップデートしたデータは次のとおりです。

github.com